母の私。娘の私。
実家からの帰り道、いつも母が見送ってくれる。
私が娘を乗せて運転している車が角を曲がって見えなくなるまで、ずっと、見送ってくれている。
その姿をバックミラー越しに見るとき、
私は、
母にとっての娘に戻る。
寂しいような、
切ないような、
心強いような、
心細いような、
またすぐに母の元に戻りたいような、
どうしようもない感情で胸が苦しくなる。
そして角を曲がる頃、後部座席のチャイルドシートからじっと私を見つめる娘を見て、
愛しさが込み上げて、
また、
娘にとっての母に戻る。
『さぁっ、一緒に帰ろうね。』
と、声を掛けて、自分に気合いを入れる。
私は、娘の母であって、母の娘でもある。
いつか私にも、旅立つ娘を見送るときがくる。
そのときになって初めて、バックミラー越しに小さくなっていく今の母の気持ちが理解できるんだろう。